古筆美手習机 14
運筆練習
運筆練習の工夫
毎回墨を磨ったら筆に墨を含ませて準備運動をしますが、あの円形がうまく丸くならないのが気になって、厚手の紙に下書きを作りました。円周率は3.14…という説明で使われる円周に沿った6つの円です。大・中の2サイズ作り、これを下敷にして書いてみました。筆管の旋回に集中できました。運筆練習
縦線、横線の練習はテキストから書きたい線を選んで真似ることにしました。メダカではなく、ネコのしっぽのようにぬくもりのある線で、直線はほとんどありません。起筆、収筆など細部を見ることができて面白く練習できます。線だけでなく字を真似ることもあります(上の写真)。八面出鋒の円は書きはじめがどこか分からないようにということですが、これはまだはっきり分かります。4行書き
文字を真似するとついでに続きも書いてみたくなって歌1首を4行に書いてみました。リズムや字幅や連綿の間隔など見どころいっぱい。もう少し大きい筆ならもっと書きやすいと思いながら5枚同じものを書きました。作品にするわけではないのでここまで。反古に書く
練習書きをこうして掲載するのもそろそろ納め時。反古は運筆練習に再利用。表も裏も。指を2本かけて大きく書いているので先に書いてある実物大に近い字とは見分けがつきます。そろそろ下敷なしでも書きはじめがどこかわからない円もたまに書けるようになってきました。書く姿勢が整ったら臨書に入ります。ここに掲載したのは数回分で、1回に全部を書いたのではありません。日によって工夫しながら楽しく準備運動をしています。鋒先
運筆練習が終ったら一旦筆を水で拭いて、単鉤(たんこう)で実物大に近いサイズで臨書に入ります。ここで拭いておかないと固まって次回に使いにくくなるおそれがあります。臨書中も鋒先が整いにくくなったときなど随時水をつけて鋒の墨を拭きとります。墨色が薄くなるけど仕方ありません。写真は拭き取った筆の鋒先にちょっと墨をつけたところ。墨の磨り方
墨が切妻屋根のように減ってきたところです。この形で使っていこうと思います。塩?
エコ書道に投稿がありました。
[タイトル]塩
[ご意見]
墨液は、塩を入れてコーヒー用の濾紙で濾します きれいな水と墨に分離します
使い道がわからないけどやってみようと、硯を片付けるときに、濾紙に吸い込まれてしまわないだけの水を足して塩をひとつまみ入れて、濾したら・・・墨液が黒いまま流れ出ました。
こんなことがあったということだけ書いておきます。エコ書道には掲載しませんでした。墨の代替品?
染物の下書きにツユクサを使うが、書も墨以外に工夫できないかとのご質問もいただきました。染め上げると消えるツユクサですが、書では水書板があります。水で書けて乾けば消える、学校などでよく使われているもので、市販されているので家でも使えます。墨や絵の具のついてない新しい筆でないと色が残ることがありますのでその点だけご注意下さい。
墨以外でも絵の具など何でも書けるわけですが、墨は炭素なので長持ちします。焼杉が外壁に用いられるのと同じです。また、濡れ色と乾いたときの色があまり違わないのも絵の具より優れています。にじみ・かすれ・濃淡の使い分けなど技法がたくさんあって厭きることがありません。墨はこれからも書の主流でありつづけると思います。もちろん斬新な画材をこばむものではありません。楽しい表現が広がることは良いことだと思っています。念のため。
2002.4.26.