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古筆美手習机 5

敷き写し(2)


敷き写し態勢

敷き写し(2)

 数時間の休憩の後、練習用紙を試して終わろうと決心。この写真が準備態勢、二玄社の手本に20cmに切った高野切練習用紙をのせ、その横にモノクロで線質のよく見える書藝文化新社の手本を添えて、あまり透けない敷き写しをすることにしました。上部の白い紙はさっきのロール紙の敷き写し。気をつけるところを赤鉛筆で書きこんであります。
敷き写し途中

敷き写し(3)

 一枚書いてから、書いているところを写真に取ろうと思い2枚目を途中まで書いてカメラをセットしましたがセルフタイマーで撮るのが億劫になってまた人物省略。2枚目は線に勢いが出ましたがちょっと雑な感じ。
手本の中敷

手本の中敷

 見ている行をすぐそばに置きたいし、手本に折り目をつけたくないので手本の折り目にボール紙をたたんで入れています。ボール紙はほぼ2回転していて流線型の先端のふくらみ部分はボール紙のたたみ方がくるくるです。上部に黒く写っているのは文鎮です。
敷き写し(2)(3)

後片付け

 筆を拭いて、その紙に硯の残り墨を吸わせて捨て、硯をぬるま湯とスポンジで洗って紙で拭いて、今度は鋒鋩の細かい硯にしようと思いながら片付けました。
 紙の色と墨の色は調和がよくて、不思議な色合いの茶色の墨ですが魅力があります。違う硯で磨ってみたい墨です。
 筆と紙も合っているようです。また書きたいと思います。

高野切れ第一種の特徴

 書き写しながら感じたことは穂先が線の中央を通る(中鋒)ことが多い、ていねいに上下動していて時間がかかるということです。玉毛(猫の毛)は柔らかいので戻りが遅く、店頭にイタチやタヌキの筆が多いのがうなずけます。いつもなぶり書きの私にはよい修行になりそうです。

 巻第1は歌集のはじめですが、この前に仮名序が書かれていた可能性があるので高野切れ古今集の冒頭とは断定できません。それでもおそらく当代一の書き手が意欲をもって慎重に書いたであろう部分です。静かに夜が明けていくような清らかさを感じます。

 詞書「ふるとしにはるたちける・・」のはじめ「ふ・不」の第1画の小さいこと。幅を広げず「るとし」と小さい字が並んで「に・尓」でその縦の流れを止めて、「は」でひろがり「る」はもう小さくて、この行で幅の広いのはあと「け」のみ。
 次の行は下半分に「ありはらのもとかた」。「あ」で墨が入っていますが、その第一画がまた小さい。墨が減るにつれて大きさが増し、「の」まで大きくて「もとかた」は消え入るようにかすれて3文字分に4文字。
 歌「としのうちにはるはきにけりひと(行換え)ヽせをこそとやいはむことしとやいはむ」行の上部がのびやかで下部の4〜5文字が詰まっています。
 布置(文字の配置)や墨継ぎの位置や文字の大きさの変化によって一目で美しいと感じます。

 高野切という名称や特徴について壷竹書作集NO.5【木蓮】を参照してください。

反省

 敷き写ししても下手なものは仕方がないもので、こうして2枚並べて手本と見比べると、2枚とも似てない字は同じ。似ている字はと探して見ましたが残念なことに一字もありません。これだけの字数を一気に練習してもなかなか身につかないかも。次回はどんな勉強をしましょうか。

2002.2.12.

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