古筆美手習机 8
目習い
鑑賞
独習なら無理して筆を持たなくてよいとの思いから、一ヶ月休養することにしました。そこで、目習い。
パソコンのそばの掲示板に手本を掲示することに。手本の一部を貼ってもよかったのですが、三年ほど前に榎倉香邨先生にいただいた古筆カレンダーを掛けました。このコンテンツのスタートになぞり書きした「古今倭歌集巻第一・・・」の部分です。その下の書きやすい高さにロール半紙を貼って、気のついた都度、鑑賞文を書こうという趣向です。
【記 録】
- 濃墨が画面全体に散らばっている
- 宝石をまきちらすように
- 満開の藪椿の木のよう
- 各行に濃淡が1〜3ヶ所必ずある
- 消え入るようなかすれ方
- 行間は字幅よりややひろい
- 縦に玉簾のように連なっている
- 縦の流れは連綿し
- 字形は縦長にみせている
- 各行に2〜3ヶ所横線が流れを切っている
- 横線を強調した字は横長か方形
- 曲線は教科書体の活字に似ている
- やわらかく暖かい線
- 線に情がある
- 「みつの」の横線3本並びの部分は連綿せずに字間をつめて
- 「や」の下は切る
- 「み」の下は切る
- 「の」の上は切る
- 行頭の白は行尾より広い
- 行頭は歌一首の2行をそろえ
- 詞書は上2字下がりあたりから書きはじめ
- 作者名は中央より下に書いている
- 行尾は不揃い
統計
このなかで、目だっている「や」「み」「の」の連綿しない癖は一貫しているのでしょうか。手本を広げて見ました。すべてというわけではありませんが傾向は強いと感じました。そうしてみると「ふるとし」「よめる」など小型の字は連綿が多く感じます。そこで、連綿している字と放ち書きが多い字を数えてみることにしました。すると、上の字が、下に連綿する傾向の強い字と、切る傾向の強い字のとあるので、いっそのことパソコンでデータにして統計を取ってみたいと思うようになりました。次のページはこのデータ処理についてです。
2002.3.12.