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古筆美手習机 3

墨を磨る


水を入れる

水を入れる

 硯の岡(陸)に水を10円硬貨くらい載せます。
 この水滴は、昔筆耕をしていたとき職場で流行っていた毛染め液をまぜる容器です。そのときまだ黒髪だった私に先輩がプレゼントしてくださったもので、今はこういうタイプの毛染めが売られていませんので貴重品です。こけてもたいした被害が出ない、大きさも使いやすいものです。
 墨を磨りながら見ようと手本を前に広げています。実際には写真を撮るのに追われてほとんど見ていません。今から書こうとしているところは字形がしまっていて余白も多く、気品を感じる部分です。
磨墨

磨墨

 墨のうえから指を二本かけた、まっすぐに磨る形で磨り始めました。岡の全体を「の」の字に磨ります。椅子に浅く腰掛けて墨がゆがまないようにゆっくりと。墨流し模様が見えていい香りが漂ってきました。墨は煤(すす)と膠(にかわ)と、その匂いを消す香料とでできています。この墨の香りは好きです。いい墨だなあと喜んでいて、とろっと粘りがでてきたので墨を紙で拭いて墨の入っていた箱の上に戻しました。紙はティッシュか書きつぶしの半紙などでよいと思います。今回は端切れの宣紙(中国製画仙紙)を半紙の半分ほどの大きさに切って用意しました。
筆を下ろす

筆を下ろす

 硯・墨・水を机の向こうの方へ移して手元を広くし、筆を下ろすことに。紙に水を垂らしてそこで筆ののりをふき取ります。高野切第一種はこまめに墨継ぎをしていますのでたくさん下ろす必要はないので鋒の長さ2.2cmの3分の1ほどを拭き取りました。このとき軸を持ってするのは危険です。鋒(毛)を持ちましょう。
試し書き

試し書き

 浅く腰掛けて、左胸の前の書きやすい位置で書けるように左手で紙を動かしながら書きます。ロール半紙の裏面に縦線を手の平の開閉・手首の回旋で書ける範囲で数本書いてみて、墨が濃すぎるのに気づいて水を足して少し墨でかき混ぜました。
墨を拭く

墨を拭く

 さっき、墨を拭く写真が左手の陰になって失敗していたのでここで気をつけてもう一度撮影。墨を濡らした都度、乾いた紙で拭きとります。
運筆練習

運筆練習

 それでは、準備体操を再開。このロール半紙が裏面には上手く書けないことに気づいて表に返して続き。縦線(めだかのように頭がしっかり太くて背骨が真ん中を通り、胴まで太く続いていてしだいに細くなって紙から離れる)と八面出鋒の円運動。指は2本掛け(双鉤・そうこう)。万年筆で書いたかのように均一に右・左まわりとも20回転ぐらい書けるようになって終了。ここまででロール半紙を一枚使用しただけ。あ、もう一枚この原稿のメモに使いました。

2002.2.12.

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