萬川集海
インパク(2001年インターネット博覧会)参加パビリオンの「忍者研究館」のホームページ内の小タイトルとして書きました。
「萬川集海」というのは忍術秘伝書の名前です。 忍者が巻物を持っているのは昔漫画本で見たように記憶していますが実際に存在したのですね。「萬川集海」は巻子本ではなく冊子本で、楷書・カタカナ混じりでていねいに書かれています。
江戸時代(「萬川集海」巻首に延宝4年(1674)甲州甲賀郡陰士藤林保武の序文がある)の教育は初等教育がお家流で中等教育が唐様の楷書であったことから教育程度の高い人達によって書き写されて伝えられたことがわかります。
内容は兵法書で、「孫子」のような理論は勿論、実際に忍びが使っていた道具の図も入ったすごい内容のようです。 「忍者研究館」 に実物写真もふんだんに掲載されています。
300年以上前の兵法書ではありますが、人の肉体も風土もそんなに変化するものでない以上、こうした、特殊な職の伝える技術・理論や徳目にも永遠に役立つ知恵が含まれていると考えます。「孫子」の言葉が未だに書作品の素材として生きていると同じように、「萬川集海」の中からも長く愛される言葉が発見されることを期待します。
「萬川集海」、巻之一 正心第一、の写真が出ています。四書五経が教養であった時代らしく「大学」の「本末」になぞらえて、『忍ノ本ハ正心ナリ 忍ノ末ハ陰謀伴計ナリ』で始まっています。そして『仁義忠信を守るのでなければ、強く勇猛な働きができないだけでなく、応変謀計を運ぶこともできない』 といった内容に続いています。日本式経営の根本を見るようで面白いと思います。工学面でも使える資料や技術が見つかるかも知れません。「忍者研究館」の伊賀上忍さんの研究成果が楽しみです。