萬川集海 萬川集海インパク(2001年インターネット博覧会)参加パビリオンの「忍者研究館」のホームページ内の小タイトルとして書きました。「 忍者が巻物を持っているのは昔漫画本で見たように記憶していますが実際に存在したのですね。「萬川集海」は巻子本ではなく冊子本で、楷書・カタカナ混じりでていねいに書かれています。 内容は兵法書で、「孫子」のような理論は勿論、実際に忍びが使っていた道具の図も入ったすごい内容のようです。 「忍者研究館」 に実物写真もふんだんに掲載されています。 300年以上前の兵法書ではありますが、人の肉体も風土もそんなに変化するものでない以上、こうした、特殊な職の伝える技術・理論や徳目にも永遠に役立つ知恵が含まれていると考えます。「孫子」の言葉が未だに書作品の素材として生きていると同じように、「萬川集海」の中からも長く愛される言葉が発見されることを期待します。 「萬川集海」、巻之一 正心第一、の写真が出ています。四書五経が教養であった時代らしく「大学」の「本末」になぞらえて、『忍ノ本ハ正心ナリ 忍ノ末ハ陰謀伴計ナリ』で始まっています。そして『仁義忠信を守るのでなければ、強く勇猛な働きができないだけでなく、応変謀計を運ぶこともできない』 といった内容に続いています。日本式経営の根本を見るようで面白いと思います。工学面でも使える資料や技術が見つかるかも知れません。「忍者研究館」の伊賀上忍さんの研究成果が楽しみです。
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私の若いころ、書道を学びはじめた時分には、よく楷書十年などということを聞かされたものである。そうかと思うと、楷書三年という先生もあった。十年と三年とではたいへん違うが、いったいどっちがよいのか、もちろん長い方がよいにきまっているが、楷書に十年もかかるようでは、草書の手紙などがうまく書けるようになるには、いったい何年かかるだろうか、などと考えたものだ。 せっかくこの稿を掲載するのだからと私も紙を折って書いてみました。紙・筆・墨・速さなど条件が整わないのか同じ形に節筆が出ることはめったにありません。特に意識して書けば出ます。へらで罫を引いても・・・一番似るのが扇子に半紙をのせたときです。そこでもしかしたら机か下敷きに工夫があったのかもしれないと流し台に掛けている金属のすのこの上に半紙を乗せて大筆で数文字書いてみると時々似た表情がでます。ただ中国産の紙ではこの場合無意識では出にくい。・・・時間がかかりそうなのであきらめましたが、素直な線に表情をつける技法として使えるかもしれないと思いました。いづれ絵画的な作品を作るときに使うかも知れません。 研究は書物やWEBから情報を集めて繋ぎ合わせ論評するのではなく、実体験から生まれたものが尊いように思います。書の勉強もお手本を書き写すだけでなく工夫して言葉にまとめ、作品に表現するのがよい方法ではないかと思います。2001.8.9. 主な参考文献 「書道ジャーナル」 季刊17 書道ジャーナル編集室 |