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一人譲れば一国暖かなり一人奪えば一国足らず。

わが道は片楽を捨てて全楽を取ることにある。
猟師と鳥獣、漁夫と魚のように地獄極楽因縁輪廻して極まらないのを片楽という。
上は税額が多いと喜び下民は大いにこれを苦しむ、
強いものが勝って喜び弱いものが負けて苦しむ、
これらは片楽であって小人凡夫の喜ぶところで 如来菩薩のおおいに悲しむところだ。

真楽とは両全の楽をいう。
大気が動き陰陽相和して万物が生ずるのは天地の楽、
根葉相通じ花実繁茂するのは草木の楽、
男女相和し子孫栄えるのは人倫の楽、
農夫が作物のために肥料を与えて喜ばせその後作物の収穫を得て喜ぶのは大本の楽、
君が大きな仁を施し下民が喜んで徳に報いるのは聖人の楽、
貸す人は無利息で貸して貧民の苦を除き共に楽しむのが貧富両全の楽。

およそ両楽で片よらないものは仁で世を救う真楽ではなかろうか。
今これを行う者がないけれど、数百年の後、
真楽菩薩が現れたなら真楽で衆生を救い世界中を極楽にするだろう。
---二宮翁金言集より

尊徳が経済コンサルタントとして多くの家庭や村や藩などを立て直した秘訣は、予算の立て方が正確であっただけでなく、宗教・思想教育を怠らなかったことによる。貸付には必ず返す方法を定めてから約束させて貸したし、無利息を基本においた喜びが双方にあった。
女は男のために慎み
 男は女のために慎む
女は男のために慎み 男は女のために慎む

背景写真は自然いっぱいの 素材集からお借りして加工した。モノクロ固定背景-「海」。

作品

原寸 半紙2分の1
筆:しらつゆ(松魁堂)
墨:聖品(古梅園)
紙:中国産単宣

作品画像(反転)   大きな画像

女は男のために慎み
 男は女のために慎む

このごろメルマガ楷書講座を作るのに楷書など堅い文字ばかりかいているので ちょっと柔らかいものを書きたくて青墨を薄めて書いてみた。あまり柔らかいとは 言えないが、詩情があればよいとした。

卑近な言葉なので、尊徳が家庭問題の相談に答えた言葉のような気がするが、 底に流れている思想には大きなものがある。愛という言葉は含まれてないが、 「男女」と題すると小さく感じるので「愛」とページに題をつけた。 また、問題の解決を自分自身に求めさせる姿勢は、現代のカウンセリングにも通じていて 古臭くはないと思う。

 2003.11.21.


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